減免制度・補助金による支援の目的とは?
産業財産権を取得しようとする目的は様々ですので、取得費用やその後のランニングコストを考えると、出願自体を躊躇する方が少なからずいらっしゃいます。
しかし、特許権、実用新案権、意匠権は新しい発明や意匠が公開され、実施されることで世の中の技術の進歩が図られ、
公開の対価として発明者や創作者に一定期間の独占的な使用を認めるものであり、
知的財産として保護されずに高度な技術等が流出したり、
他社が権利取得することで事業活動が制限されることは国や地域の産業競争力を弱めてしまう
と言えます。
さらに、事業活動のグローバル化が進む中で、海外での産業財産権の取得はより重要性が高まっていますが、
同じように出願等のコストの問題で取得を断念するケースが見られ、重要な発明の特許権や自社の商標の商標権を海外の事業者に先に取得されてしまったり、悪用されてしまう
ことも考えられます。このような事態を避けるために、国や自治体による減免制度や補助金制度が存在しています。
制度を受けられる対象について
現在これらの制度や支援策は「全ての企業や個人が受けることができるもの」ではありません。
例えば、外国出願補助金(中小企業等外国出願支援事業)という令和4年に募集があった補助金は、
・中小企業者又は中小企業者で構成されるグループ (構成員の2/3以上が中小企業者)。
※ ただし、みなし大企業を除く。
・地域団体商標の外国出願については商工会議所、商工会、NPO法人等が対象。
とあり、出願内容によって支援が受けられる対象が変わるものもあります。
申請期限等を含めて、減免や補助金が受けられるかについてもお気軽にご相談ください。
① 特許権の減免制度の概要について
★ 特許庁へ申請を行うことにより、手数料のうち審査請求料と特許料(1年分から10年分まで)が軽減または免除される制度です。
2019年4月に制度の改正があり、減免要件が拡大され、手続(ex.証明書の提出)が簡素化されました。
※ 審査請求料、特許料については、「コストの目安について」をご参照ください。
減免制度の対象者について
右図は本減免制度の対象者と軽減率をまとめた表です。
まず前提条件として、大企業に属する場合(=右図に該当しない)は対象外となります。
ここに記載された「企業」とは「法人」と「個人事業主」とを含みます。
また、生活保護受給者、市町村民税非課税者は一部免除の項目が含まれます。※印の記載をご覧ください。
※ 本制度における中小企業の例
中小企業か否かを判断する指標が特許法施行令第10条第1号イ~ソにおいて決められています。
基本的に「業種」・「従業員数」・「資本金額」から判断されます。
※ 左図の中小企業に加えて、企業組合、協業組合、
事業協同組合、森林組合、農業協同組合、漁業協同組合、商工組合、商店街振興組合、消費生活協同組合、酒造組合、
特定非営利活動法人なども対象に含まれます。
各減免対象者の詳しい要件については、
特許庁ホームページ「2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について」の
「2. 新減免制度の対象者・措置内容」において詳細を確認することができます。
リンクは >> こちらから
また、令和6年4月より対象者によって一部件数制限(1年あたり180件まで)が求められます。
② 外国出願補助金等の概要について
★ 特許庁が外国へ特許、実用新案、意匠又は商標の出願を予定している中小企業等に対し行う支援です。
外国特許庁への出願、審査請求、中間応答等の費用、代理人費用、翻訳費用について、
都道府県中小企業支援センター等を通じて、費用の 1/2 を助成する事業と、令和6年度スタートの新たな支援事業があります。
(令和5年度実績より)
※ 令和6年度の支援の予定について (令和6年4月20日更新)
⑴ 外国出願費用の助成(中小企業等外国出願支援事業)
特許庁が、外国へ特許、実用新案、意匠又は商標の出願を予定している中小企業等に対し、
都道府県中小企業支援センター等を通じて、外国出願に要する費用の 1/2 を助成します。
※令和6年度については、未定です。
※ 特許庁ホームページ リンク「令和6年度中小企業等海外展開支援事業費補助金」
(2) 海外権利化支援事業
特許庁が、令和6年度から中小企業、中小スタートアップ企業、大学等が、
海外において特許、実用新案、意匠又は商標の権利化をする際に要する費用の一部(海外特許庁における権利化のための手続
(①出願、②審査請求※2、③中間手続※2)の手数料、及びこれら手続に要する翻訳費用・国内/現地代理人費用 等)
を助成する事業を実施します。※令和6年度事業については、6月頃に第1回の公募を開始予定です。
・本事業の実施により、年度をまたぐ補助事業の実施が可能となり、支援の幅が拡大されました。
※ 特許庁ホームページ 「海外権利化支援事業」リンク
令和5年度まで実施されていた
1. 中小企業等外国出願支援事業(外国出願補助金)
2. 中小企業等中間手続支援事業(審査請求補助金・中間応答補助金)
3. 日本出願を基礎としたスタートアップ設立に向けた国際的な権利化支援事業(スタートアップ設立に向けた外国出願支援事業)
は、(2)海外権利化支援事業の事業開始に伴い、終了しました。
③ 侵害対策支援金等の概要について
★特許庁が、海外における日本企業の商品の模倣品によるブランドイメージの低下や安全性の問題を解決するための費用や、
第三者が悪意を持って先に取得した権利に基づく訴訟への対応や権利を消滅させるための請求に係る費用(上限額を設け、費用の2/3から1/2程度)の助成をします。
(令和5年度実績より)
※ 令和6年度の支援の予定について(令和6年4月20日現在 本年度の予定は出ていません)
(1) 模倣品対策支援
特許庁が海外で模倣品被害を受けている中小企業者に対して
海外侵害調査、警告状の作成、行政摘発の実施等について、その費用の 2/3 を助成します。
予算がなくなり次第終了となるようです。詳しくは、
※ 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ リンク
(2) 冒認商標無効・取消係争支援
特許庁が中国等海外で現地企業から、自社のブランドの商標や地域団体商標を冒認出願された中小企業等に対し、
異議申立や無効審判請求、取消審判請求など、冒認商標を取消すためにかかる費用の 2/3 を助成します。
※ 『冒認出願』とは第三者が悪意を持って先に出願をすること
予算がなくなり次第終了となるようです。詳しくは、
※ 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ リンク
(3) 防衛型侵害対策支援
特許庁が海外企業から警告、
訴訟など係争に巻き込まれた中小企業等に対し、対抗措置にかかる費用の 2/3 を助成します。
予算がなくなり次第終了となるようです。詳しくは、
※ 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ リンク
④ 自治体による補助金等の概要について
★市区町村等の自治体が地元の産業振興を図り、産業財産権取得費用の一部を助成します。
特許権・実用新案権に限る自治体や意匠権・商標権も対象とする自治体など、
受けられる助成の内容、支援額、要件が異なります。各自治体のホームページなどでの情報収集が必要です。
※ 令和6年度の支援の予定について (令和6年4月20日現在 本年度の予定は出ていません)
秋田県内の中小企業等が対象の助成について
公益財団法人あきた企業活性化センターが、秋田県内の中小企業者等向けに
外国へ特許・意匠・商標を出願する際に係る費用の一部を助成。(第1回目募集:5月23日〜6月23日)
2回目は9月中旬から10月中旬予定(※ 1回目で予算に達した場合は実施されません)
→ 本年度(2023年)の募集は終了しました。
>>公益財団法人あきた企業活性化センター/該当ページ リンク
また、秋田県の知的財産に関する支援については、秋田県公式サイト「美の国あきたネット」や「INPIT
秋田県知財総合支援窓口」、「公益財団法人あきた企業活性化センター」等のホームページで
補助金を含めた知財関連の支援の新しい情報を確認できます。
本ホームページの >>こちらから アクセスできます。
秋田県外の自治体の情報については、「INPIT」の全国版である
>>こちらのサイト でお住まいの地域の窓口のページに
アクセスすることができます。なお、公的機関のサイトではないですが、
>>「ミライサポート」というページで、検索ワードを「特許」や「商標」などと入力すると、
知的財産に関わる自治体や全国の補助金を検索できます。